犬の病気

「普段の感じと違うな」と思ったら早めの検査を。

 

「普段の感じと違うな」と思ったら早めの検査を。

犬に多い病気としては、皮膚病、心臓病、腎臓病があげられます。
また人と同じで、ガンも多く発生します。
いずれも病気が重くなる前に、早めの検診で対処することで悪化を防ぐのが一番です。

ストレスにはご注意を

普段から気をつけてあげてほしいのがストレスです。

ストレスにはご注意を一般的に、引っ越しなどの環境変化によるストレスに弱いのは犬よりも猫だと言われますが、犬の場合でも、たとえば飼い主がずっとひとり暮らしをされていて散歩にもあまり行かず、ずっと室内犬として過ごしていた場合には社会性が身についておりません。
そのためストレス性の疾患にかかることもあります。

ただ室内犬の場合、飼い主の近くにいることが多いため、体調を崩していることに早めに気付いてもらえることが多いようです。
対して室外犬は目が届きにくく、気付いたときには悪化してしまっていることもあります。

水を飲む量、ごはんを食べる勢い、散歩するときの速度、また飼い主が帰宅したときにいつもどおり喜んでくれるかなど、普段の生活パターンを比べて違和感を感じることがあれば、「病気かな?」と注意してあげてください。

ストレスとなり得る原因例

  • 飼い主が忙しく、あまり遊んであげられない。
  • 散歩に行く回数が減った。
  • ずっとそのペットをかわいがっていた人が、急にいなくなった。
  • ご飯を置く場所や、トイレをする場所が急に変わった。

犬の皮膚の病気

食物アレルギー性皮膚炎

特定の食べ物が原因で、顔や体が痒くなったり下痢症状を起こします。

アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎

花粉などの原因物質と接触したり、また吸引したりすることでかゆみが誘発されます。
最初は顔、脇、お腹などに症状が出ることが多く、進行すると全身に広がります。

ツメダニ症

ツメダニが寄生することで強いかゆみが出ます。

かいせん症 おもに体の柔らかい部位(耳、腹部など)に発症します。
激しいかゆみがあるのでひっかいたり噛んだりしてしまい、出血や脱毛を誘発します。

膿皮症

多くはアトピーや内分泌疾患などで起こる皮膚疾患が原因となって発症します。
軽度であれば皮膚が赤くなったり発疹が起こったりする程度ですが、皮膚の奥まで感染すると膿がでて発熱します。

皮膚真菌症

マラセチア性皮膚炎がよく見られます。
皮膚の赤みとひどい痒みが見られます。

犬の心臓病

僧帽弁閉鎖不全症

タンが絡むような咳が見られ、特に夜間から朝にかけてひどくなる場合が多いです。
悪化すると失神してしまったり、呼吸困難を起こすようになります。
重症になってくると、寝ることができなくなります。

フィラリア症

はじめは運動をすると咳が出る程度なのですが、進行すると息切れして散歩も嫌がるようなったりします。
またフィラリアの寄生する部位によって、急激に体調が悪化して呼吸困難、黄疸などが起こり、場合によっては死に至る危険性もあります。

拡張型心筋症

大型犬に多く見られる病気です。
わずかな運動で息切れしたり、元気のない咳をします。
進行すると失神したり、呼吸困難に陥ることがあります。

先天性心疾患

肺動脈狭窄症が比較的よく見られます。
ほか動脈管開存症、心房中隔欠損、心室中隔欠損、大動脈狭窄といった場合もあります。
大抵は無症状ですが、咳が出たり疲れやすいといった症状が出る場合もあります。
また発育が悪いこともあります。

犬の癌・腫瘍の病気

皮膚腫瘍

オスの場合、肛門周囲腺腫(肛門周辺に小豆~大豆サイズの腫瘍ができる)がしばしば見られます。
肥満細胞種の場合、赤みだけであったり、しこりを作るなど形態は様々です。
乳頭腫はいわゆる「イボ」のことで、年を重ねたワンちゃんでよく目にします。
また腫瘍ではないのですが、アテロームと腫れものもあります。

乳腺腫瘍

避妊手術をしていないメス犬がかかりやすい腫瘍です。
まず乳房にしこりができますが、良性腫瘍であればゆっくり大きくなります。
しかしガンだった場合は、急速に大きくなってしまいます。
ただし良性であっても大きくなった腫瘍を放置すると、ただれ、出血、化膿、悪臭といった症状になる場合もあります。

血液の腫瘍

血液のガンの中で発症しやすいのはリンパ腫です。あごの下で発見できることが多いですが、皮膚や腸にできるものもあります。
リンパ節が腫れない場合、貧血や呼吸異常が見られる場合もあります。
白血病になってしまうと、食欲が減退し、元気もなくなってしまうなどの症状が出でます。

内臓の腫瘍

様々な腫瘍ができやすいのは、内臓の中でも脾臓があげられます。
嘔吐をくりかえす場合、消化器の腫瘍を疑わなければなりません。
肥満細胞腫、リンパ腫の他に、血管肉腫、血管腫なども見られます。
多くは食欲や元気がなく、貧血が見られます。

犬の下痢と嘔吐

犬の下痢と嘔吐犬は下痢や嘔吐を起こしやすい動物です。環境の変化や体調を崩して下痢をしたり、合わないものを食べて嘔吐することはよくあります。母犬の場合、子犬に与える離乳食として吐き戻しをすることもありし、空腹や車酔いなどで嘔吐するケースもあります。

ただし、下痢や嘔吐は、感染症や急性出血性胃腸炎、異物の飲み込みなど、命にかかわる原因によって起こっている可能性も考えられます。下痢と嘔吐が同時にある場合、出血を伴っている場合、水を飲んですぐに嘔吐する場合、異物が出てきた場合など、特に注意が必要なケースはいくつかありますので、愛犬が下痢や嘔吐を起こしたら、様子をしっかり観察して危険な症状があったらすぐに受診しましょう。普段から便の状態などをきちんと観察しておくと、異常があった際にすぐ気付いてあげることができます。

また、下痢の場合、脱水症状を起こす危険性もあります。食べ過ぎなどはっきりした理由があって一過性の下痢を起こしている場合、いつでも飲めるよう新鮮な水をたっぷり用意してあげましょう。

犬の下痢

緊急に受診が必要なケース

下痢と嘔吐が同時にある場合には、感染症や急性出血性胃腸炎など、重篤な症状になり命にかかわる可能性がある病気も考えられます。できるだけ早く動物病院で診察を受けましょう。
特に血(緑色、黒みがかった)が混じった下痢と嘔吐を起こしていたら、緊急に動物病院の受診が必要です。

便の状態からわかる、可能性のある病気

  • 黒い・タール状:消化器から出血している可能性があります。膵臓疾患の可能性があります。
  • 赤い:結腸・直腸・肛門からの出血や、急性出血性胃腸炎の可能性があります。
  • ゼリー状のものがある:大腸炎の可能性があります。
  • 不快臭や泡:腸内に悪玉菌が繁殖している可能性があります。

また、食欲があり、体重減少がない場合でも、下痢が続くようでしたら大腸疾患の可能性があります。

様子をみてあげる際の注意点

下痢だけで嘔吐がなく、元気があるようでしたら、様子を観察しながら正しくケアしてあげることで翌日にはおさまる場合もあります。

胃腸を休ませましょう

下痢になったら、胃腸を休ませる必要があります。下痢をしている時には、24時間餌を与えずに様子を見ましょう。この時、口寂しさから異物を飲み込んでしまわないよう、愛犬が届く範囲に飲み込めそうなものを置かないように注意してください。翌日、便が出なかったり、通常の便が出たら、いつもの半量の餌を与え、下痢が続かなければ、いつもの量の餌に戻します。

ストレスに注意

なんらかのストレスで下痢が起きている場合もあります。愛犬が温かく過ごせるようにし、思い当たるストレスがあったらできるだけ排除してあげてください。

1週間くらい良くなったり悪くなったりと下痢が続くようでしたら、なんらかの原因で慢性の下痢が起きている可能性があります。動物病院で診療を受けましょう。

犬の嘔吐

緊急に受診が必要なケース

犬の病気嘔吐だけでなく、下痢の症状もあったら、すぐに動物病院で診てもらう必要があります。血液が混じっているようでしたら、特に緊急性が高くなります。吐いた物や便が赤かったり、褐色だった場合には、感染症や急性出血性胃腸炎など、命にかかわる病気の可能性があります。

水を飲んですぐ嘔吐する場合も、緊急性の高い症状です。異物を飲み込んでいて消化管のどこかに詰まり、詰まった部分が壊死してしまう可能性があります。

嘔吐がおさまらない場合もできるだけ早く動物病院でみてもらいましょう。消化器に閉塞が起きている可能性があります。また、嘔吐は食道やのどが胃液にさらされますので、繰り返すと食道やのどが出血を起こすことも珍しくありません。

そして、吐いたものに異物が混じっていないかも確認しましょう。もし異物があったら、すぐに受診してください。一部だけ出て、大半がまだ体内に残っている可能性があり、とても危険です。

様子をみてあげる時の注意点

1回だけの嘔吐で元気があるようでしたら、それほど心配する必要はありませんが、数時間は水と餌を与えず、注意して様子を見守りましょう。

原因に心当たりがないか考えてみましょう

食べ過ぎ、犬の胃が消化できないものを食べたなどで嘔吐している場合もあります。また、空腹で嘔吐する場合もあり、この時は胃液を吐くので吐いたものを確認したらわかります。離乳食として子犬に与えるための吐き戻しを行うこともあります。この吐き戻しの場合には、水や食事を抜くなどの対策を取る必要はありません。

食事を抜いて様子をみましょう

嘔吐があっても元気があるようでしたら食事を1回抜き、数時間見守って繰り返さないようでしたら通常の半量の餌を与えます。それで特に問題がなければ通常の食事に戻します。

車酔い

車酔いで嘔吐が起こることもあります。車に乗る前に食事を与えないようにすることである程度避けられます。また胃に固形物がなければ、嘔吐しても気管に入って危険な状態になりません。

嘔吐を繰り返す場合、細菌やウイルス感染、寄生虫症、異物を食べてしまった、消化器の腫瘍などの可能性もあります。様子をみて嘔吐を繰り返すようでしたら、早めに動物病院の診療を受けましょう。